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ダイナミックレンジ 2007/01/13

昔々、印刷用の写真原稿はほとんどポジであった。写真製版で色分解するときに
ポジのが良い結果が得られたことがその理由だ。だから、広告写真などはほぼ
100% ポジで撮影された。

ポジの良いところはデンシティーレンジが広いことで、一般的な表現をすれば白と
黒の明度差が大きいということ、透過光で観察するので、当たり前と言えば当た
り前の話である。

一方、ネガは最終的にプリントすることを目的として使われ、記念写真など、普通
の人が普通に写真を楽しむために使われた。もちろん今でも「写るンです」などの
カメラ付きフィルムはネガで、最終的には印画紙にプリントされる。

どちらが良いと言うことはできない。目的に応じて使い分けるのが正しい。

さて、それではデジタルカメラはネガなのか、ポジなのか?少なくとも、撮影した時
に、そのままの状態で普通に写真として観賞できると言う部分に関しては間違い
なくポジである。RAW で撮影された画像は「現像」と呼ばれるファイル変換処理が
必要なので、ネガ的と考える人がいるが、ポジフィルムであっても現像は必要だっ
たわけで、「現像処理」が必要だからネガと考えるのはチョットおかしい。とりあえ
ず、ポジと言うことにしておこう。

ポジフィルムの特性として、露出オーバーには気をつけなければいけないと言うこ
とがある。ポジにおける露出オーバーは、フィルム上に像が何もない状態を作る。
いわゆる白飛びである。8 ビット RGB の値で表現すれば、255,255,255 で、それ
以上白くなることができない、真っ白な状態を言う。ピクセルが一度この状態になっ
てしまうと、元に戻すことは出来ない。値を小さくしても、明るい灰色にしかならな
い。ただ、必要な部分だけを選択して、色を付けてしまうことが出来ないわけでは
ない。もちろん、誤魔化しであるが、白飛びしたら救いようがないと考えるのが絶
対に正しいとは言い切れない。ただ、元の正しい色彩やパターンが完全になくなっ
てしまうことは確かだ。

なので撮影者は階調を表現しなければならない明るい領域がある場合は、この
白飛びが発生しないように気をつけて撮影しなければならない。これがポジで撮
影する際に露出は控えめに、あるいは明るい部分に露出を合わせろと言われて
いたことの理由である。

一方ネガでは、フィルム上でスコンと抜けた状態はプリントした場合には「真っ黒」
である。プリントするときに、どんなに露光を控えても、そこには像がないので、単一
なグレーにしかならない。だからネガにおいては、露出を多めに掛けるのが常識で
あった。しかもネガの場合は、必ずプリントされるため、その段階で明度や色調を調
整できるからポジほど露出や色調に気を遣わなくても済んだ。RAW ファイルはその
意味では確かにネガ的である。

真っ黒、つまりデジタルでは RGB で 0,0,0 の状態だけど、実際に RAW のデータが
この値を持っていることはほとんどない。イメージセンサーに発生するノイズのせい
で、センサーからデータを読み出した時点で 0,0,0 と言う状態はあり得ないのでは
ないだろうか。

もちろん現像処理の段階やカメラ内 JPEG に変換する段階でノイズリダクションが
理想的に働けば 0,0,0 になるべきピクセルは存在する。しかし、一度 0,0,0 になっ
てしまうと、いくら明るくしても、グレーにしかならない。もし、暗い部分に表現したい
トーンが存在する場合には、黒つぶれが発生しないよう、露出を多く掛けて撮影す
る必要がある。

しかし、好天で逆光の風景では、明るいところに露出を合わせれば、黒つぶれが
起き、暗いところに露出を合わせれば白飛びが起きる。

フィルムにしても、デジタルにしても表現できる階調はせいぜい7段と言われてい
るが、被写体がそれ以上の明度差を持っている場合には、どちらかを諦めるか、白
飛びと黒つぶれが発生するかも知れないとわかりつつも中間の値を取るか、撮影
者がその作画意図に合わせて決めなければならない。

つまり、デジタルカメラで記録できる明度差は使用するカメラが決まれば、おのず
から決まってくる、これがダイナミックレンジだ。ダイナミックレンジは正確には dB
(デシベル)と言う単位で表現される。一般的なデジタルカメラでは 60 dB と言わ
れている。dB を解りやすく説明すると 20 で割って 10 の階乗を取る。つまり60
÷ 20 = 3 だから 10 の 3 乗 = 1000 となる。一番小さい信号を 1 とするとその
1000 倍まで飽和せずに記録できるときに、このセンサーのダイナミックレンジは
60 dBであると言える。1:1000 と言うことは、倍々で考えれば、2,4,8,16,32,64,
128,256,512,1024 で 10段の明度差を表現できることになる。が、実際にはノイ
ズと信号の区別が明確ではないので、最低でも 8 以上の強度が必要となり、や
はり、7段あたりが表現可能な明度差と言うことになると言うことだ。

で、結局私は何が言いたいの?

撮れない写真を撮ろうと試みることは悪いことだとは思わないけど、季節、時間
帯、光の向き等により、実際の景色にはどう頑張っても綺麗に撮れない明度差を
持つものが存在する。そんなハイコントラストな被写体を写さなければいけなくなっ
たら、欲張らずに、明るいところか暗いところをバッサリ捨てなければならない。

悲しいけどそれが現実で、変に欲張っても何となく眠い写真ができあがることになる。

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