« SD14 の次は? 2008/03/21 | トップページ | 50mm F1.4 EX DG HSM 2008/03/27 »

PIE 2008 での収穫 2008/03/23

今年の PIE で一つ大きな収穫があった。顔見知りのシグマの光学技術者さんが
会場におられたので、以前から疑問に思っていた事を一つ尋ねてみた。

質問:

AF の精度というのは 100% ボディに依存すると思っていたのですが、過去に2回、
レンズを調整してもらった事で、AF が明らかに良く合うようになったことがあります。
その時にはボディを一緒に送ってはいなかったから、レンズ側の要因によって AF
の合焦精度が変わった事は間違いのない事実です。なぜですか?

答え:

AF システムは通常、画面中心部で測距します。が、一般的に大口径レンズにお
いては画面中心部で測距し、合焦したポイントがそのレンズの最良点とは言えな
い場合があります。そのために、それが必要なレンズでは、ボディが合焦したと判
断した位置から最良点までの差をデータとして持っていて、その差分を自動で調
整します。この差分データが正確でないとボディが正確な合焦点を捕らえても、ピ
ントが狂う場合があります。

ここから下は私の想像で付け加える。

つまり、レンズ(特に大口径なもの)には、あらかじめ、わずかな像面湾曲により
画面全体を考えたときには、ボディが止まれと指定してきた位置から、少しずら
した方が良い場合がある。なので、レンズには、中心部合焦点から、これだけず
らしなさいというデータが組み込まれていると言うことだ。この「これだけ」情報は、
おそらく同じモデル、同じ焦点距離であれば同一だろう。ところが実際には製造
時に個体毎のバラツキが発生するため、もしかすると出荷前に再度、その値を調
整するのかも知れない。

その調整が完全でない場合、あるいは出荷時に再度の調整がされなかった場合
に「このレンズはうまくピントが合わない」となるらしい。

長年の疑問が解けて、非常にスッキリした。


小さな収穫もあった。それは 50mm F1.4 を覗くことができたこと。EOS 5D に着い
ていたのだけど、ものすごく MF がし易く、AF でなくても、十分にピントを合わせる
ことができた。ファインダーを覗いただけで、明らかにこのレンズの画質の良さがわ
かる。

ついでにこのレンズの売りになっている「サジタルコマフレア」に付いて少し書いて
おく。サジタルコマフレアと言うのはレンズの収差の一つである「コマ(コーマ)収差」
が、レンズの中心から円周上にフレアとして出てくるモノを言う。コマ(コーマ)と言う
のは彗星の核の周囲にあるモワッとしたものを指し、特に光点が画面中心から外れ
た位置にあるような夜景を撮った場合に、その光点の周囲に彗星の尾っぽのような
ボケが生じる。画面中心から周辺に向かう線上に出るものをメリジオナル(放射線
方向)コマフレアと言い、まさに彗星の尾の様に見える。それとは異なり画面中心か
らの同心円の円周上に鳥が羽を広げたようにフレアが出る場合がある。これがサジ
タル(同心円)コマフレアだ。

実際にサジタルコマフレアが見える写真が私の作例にある。

30mm F1.4 開放の夜景

30mm F1.4 の画面左端の光点に、見事なコマフレアが出ている。ただ、30mm F1.4
と言う条件を考えると、この程度で収まっているのは優秀である。

通常コマフレアは2~3段絞ることで目立たなくなるが、明るいレンズの開放では
「宿命」と言われるくらいに有名な収差である。幸い近年は非球面レンズの製造
技術が上がって来たため、レンズメーカーがその気になれば、この収差を低減す
ることが可能になった。

50mm F1.4 はまさに開放で使われることを想定しなければいけないレンズなので、
そのあたりに充分の配慮を行ったのだろう。Outliner さんに借りてテストと言って
いたが、つい予約してしまった。(^^;

|

コメント

人によって妙に評価の分かれる30mm F1.4の謎がこれにて一件落着ですね。(*^^*)
製品にばらつきが多いというより、
ばらつきを揃えるのがかなり困難だったということが私にも理解できました (^^;
それにしても、光学レンズって、普通の工業製品のレベルをかなり超えた精密さが要求されてしまうのですねぇ。う〜む。

投稿 けーざい | 2008.03.23 06:26 午後

コメントを書く