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SD1 の被写界深度 2012/02/29

千葉県船橋市は雪が降っている。やや湿った小粒の雪なので、あまり積もらないだろう。


昨日テストした eSATA 接続の CF カードリーダーは ka_tate さんにテストしてもらうために送ってしまった。私の環境ではかなり遅いのだけど、インターフェイスボードの問題である可能性が高い。インターネットで調べて見ると、私が採用したインターフェイスボードに使われている Siliconimage 製のチップは信頼性は高いのだけど、速度が出ないとなっていた。

私自身は USB3.0 での接続に満足しているので、問題はない。ichiro_tw さんの環境では十分に速い速度が出ているので、ドライバの絡みもあるのかも知れない。ただ、このあたりは実際にテストして見ないと何とも判断が付かないので、個人的には USB3.0 が使えない方、あるいは eSATA インターフェイスを備えたパソコンをお使いの方にしかお薦めしたくない。でも、高価なインターフェイスボードなら十分に速いのかも知れない。

いずれにしても USB3.0 が普及し始めた現在、eSATA インターフェイスでなければ接続出来ない機器を使用する場合を除いては、積極的に選択するメリットはあまりないと思う。


さて、本日の話題。


写真には被写界深度という概念がある。写真の中で「焦点が合っているように見える距離の深さ」が被写界深度である。撮影距離が短いほど被写界深度は浅くなり、レンズの絞りを開くほど被写界深度は浅くなり、レンズの焦点距離が長いほど被写界深度は浅くなる。そして、その逆も正しい。さらに、もう一つ被写界深度を決定する要素がある。どれだけ大きなサイズでその写真を見るかと言うことである。

昔は 35mm フルサイズのフィルム上で 1/30mm 以上ボケていなければ被写界深度内にあるとされていた。これは「 35mm フィルムから8x10(ほぼ A4 )に引き伸ばした写真を通常の距離から見た場合に、フィルム上で 1/30mm 以上ボケていなければ、ピントは合って見える」と言う理由で決められた数値である。

このフィルム(センサー)上で許されるボケのサイズを「許容錯乱円径」と言う。35mm フルサイズのフィルム上で直径 1/30mm の円を A4 に引き伸ばすと言うことは拡大率にして約8倍である。私の様に A4 に天地左右 18mm の白縁を付けてプリントする場合には7倍にもならないが、とりあえず8倍と言うことにしておこう。

1/30mm を8倍に引き伸ばすとその直径は約 1/4mm である。目の良い人が A4 サイズの写真を見た時に 1/4mm の円を「点」と感じるかどうかは微妙である。が、とにかく昔はそれが被写界深度を求めるための基準であった。


さて、SD1 の1ピクセルは素子サイズ 23.5mm ÷ 4800 で求める事が出来る。答えはほぼ 0.005mm、つまり5ミクロンである。分数で表すと 1/200mm と言うことになる。1/30mm の中に 1/200mm が幾つあるかと言えば、約 6.5 個である。これは「 SD1 の Hi で撮影された写真を A4 サイズでプリントするのであれば、6ピクセル分ボケていても、そのボケはあまり目ただない。」と言い換えることが出来る。

実際にやってみれば判るけど、この数値は少々甘すぎる。私が許容できるのは4ピクセルくらいである。それを採用させてもらうと、SD1 で撮影して A4 サイズにプリントする場合の許容錯乱円径は 1/50mm と言うことになる。実際にインターネット上で「被写界深度」を調べて見ると、APS-C サイズのセンサーでは許容錯乱円径はほぼ 0.02mm となっている。

許容錯乱円径が決まったら、具体的な被写界深度を正確に求めるためにはインターネット上にある計算プログラムを使うと良い。

「ルウ写真館」さんのウェブサイトにある被写界深度計算プログラム


さて、本日の記事はここで終わるのが目的ではない。

私が今まで散々文句を言っている SD1 の AF の精度について、現時点では「少し文句を言い過ぎた」と反省しているのだけど、それは私が SD1 で撮影された写真をディスプレイ上で1:1で観察しての評価だったからだ。

この場合、許容錯乱円径は 1/200mm = 0.005mm となる。上で紹介している「ルウ写真館」さんの被写界深度計算プログラムを使って、日曜日に撮影した「はな」の写真をディスプレイ上で1:1で表示させた時の被写界深度を求めてみると、手前が 3.6mm、奥が 3.6mm である。一応、計算条件を書いておくと、レンズの焦点距離 50mm、F値 2.8、被写体までの距離 80cm、許容錯乱円径 0.005mm である。

わずか 7.2mm の深度しか持たない被写体に対して「ピントを合わせろ!」と文句を言うのは、酷である。しかも、レンズ自体の解像度も 100本/mm 以上でなければならない。17-50mm F2.8 EX DC OS HSM の 50mm は非常に良い描写をするが、絞り開放でレンズの中心を外した場合は、少しだけ甘い。つまり、元々ピントが来づらい条件で撮影しておいて、ピントを合わせろと言っているだ。


SD15 ではイメージセンサーのピッチが変わる。なので、SD1 ほど極端ではない。それでもディスプレイ上に1:1で表示する場合の被写界深度を求めるために、許容錯乱円径 0.0077mm で計算すると、手前に 5.5mm、後に 5.6mm である。まぁ、厳しいと言えば厳しい。もちろん SD15 の Hi を A4 にプリントする場合は3ピクセル以下のボケなら許容出来るので、許容錯乱円径は SD1 と同じ 0.02mm で計算して良いと思う。

ベイヤー型イメージセンサーを採用したものでも、APS-C サイズのセンサーから A4 サイズへのプリントなら全く問題はない。画素数にも寄るが 1,000 万画素以上であれば、やはり許容錯乱円径は 0.02mm くらいだろう。ただ、ベイヤー型イメージセンサーで撮影された画像をディスプレイ上に1:1で表示させて鑑賞することは正しい(メーカーが推奨する)鑑賞方法ではないので「ピントが無い!」と文句を言うのは間違っている。敢えて、無理矢理、許容錯乱円径を求めるとすれば、画素ピッチの2倍が妥当な数値であろう。

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コメント

> m3 さん

変ではありません。

許容錯乱円径 = 画面の対角線長 / 1300

と言うのは A4 サイズ程度にプリントした場合の許容錯乱円径の求め方です。

なので、フィルム時代の被写界深度の求め方としては間違いではありません。

実際にはもう少し小さい方が良いので 定数は 1300 ではなく 1500 くらいのが良いかも知れません。

画像をディスプレイに1:1で表示する時に1ピクセル以上ぼけたら判ると言う前提で話を進めると、センサーのピッチ=許容錯乱円径になると言うことです。

つまり、かなりの極論ですので、あまり気になさらない方が良いです。(^^;

投稿: maro | 2012.03.03 21:33

maroさん、失礼しました、深夜で頭が朦朧でした。


再度、例のサイトで下記の値を入力しました
50mm、f2.8、80cm

sd1:23.5 x 15.7
許容錯乱円径:0.02173
前:1.53、後:1.59

sd15:20.7 x 13.8
許容錯乱円径:0.01913
前:1.35、後:1.4

と、いう値が表示され何か変ですね。

投稿: m3 | 2012.03.03 12:14

> m3 さん

許容錯乱円径には任意の値を入れて計算できますので、35mm フルサイズ専用というわけではありません。

センサーサイズの違いや、最終的な出力サイズの違いを吸収するのが許容錯乱円径なので、許容錯乱円径を定数化しなければ良いだけの話だと思いますが・・・。

投稿: maro | 2012.03.03 07:23

maroさん、ご無沙汰をしています。
ゾナー90mm改造の件では、たいへんお世話になりました。


被写界深度は確かに下記の式で求める事が出来ますが、例のWebサイトの「ひな形計算式」で求められる被写界深度の値は、35mmフルサイズでの値ではないでしょうか。

フルサイズとAPS-Cサイズでは焦点距離が異なるので、許容錯乱円径の値を変えても、被写界深度の値は異なりもう少し大きい値になると思いますが如何でしょう。


被写界深度
= 前方被写界深度+後方被写界深度

前方被写界深度(2と記しているのは二乗です)
= 許容錯乱円径×絞り値×被写体距離2/(焦点距離2+許容錯乱円径×絞り値×被写体距離)

後方被写界深度(2と記しているのは二乗です)
= 許容錯乱円径×絞り値×被写体距離2/(焦点距離2-許容錯乱円径×絞り値×被写体距離)

許容錯乱円径
= 画面の対角線長 / 許容錯乱円径用の定数

許容錯乱円径用の定数:1300 だ、そうです。

投稿: m3 | 2012.03.03 04:06

> mykiss さん

お役に立てて何よりです。これからもどうぞよろしくお願い致します。

> あきさん

この前、あきさんのコメントに「ディスプレイ上で SD1 の画像を1:1で表示した場合の許容錯乱円径はとんでもなく小さい数字になるはず」とお返ししたので、具体的な数字を出してみました。

> Xingxing さん

> SIGMAの方々も理解しているとは思うのですが・・・。

はい。私がブログやウェブサイトで書いている事は、全てシグマさんにはわかっていることだと思います。

出来なかった事を出来るようにするのが「技術」ですから、日夜、改良を続けてくれているはずです。

投稿: maro | 2012.03.01 08:00

いつもお世話になります。

maroさんご指摘の通り、Foveonはピントの精度が大切ですよね。そういった意味では、SDシリーズにもライブビューもしくは、コントラストAFは必須だと思うのです。
SIGMAの方々も理解しているとは思うのですが・・・。

投稿: Xingxing | 2012.03.01 07:26

勉強になります。有難うございます。

ポートレイトでは瞳にピントが来て欲しいものですが、
困難であることを再認識しました。

急いで撮ろうとするなら無理に近いです。
SD15にマグニファイアーも購入しましたが、
プレビューで見てもよく見えず・・・。

最近は一脚やら手ブレ防止方面からの改善を狙って
おりますが、ますますDP系のピント精度に感心してます。

投稿: あき | 2012.03.01 01:41

今回も勉強になります。

論拠・出典も明確で、毎回ワタシのような
素人にも理解出来るよう解説いただけて
ありがたい限りです。

感覚で感じること+その裏付けの正しい知識
の重要性を今回も感じさせられました。

投稿: mykiss | 2012.02.29 13:00

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